夜中の歯ぐずりを安全にあやす、してよいことと避けるべきこと

夜中の歯ぐずりでつらい赤ちゃんを、歯ぐきマッサージや冷たい歯固めで安全にあやす方法から、ベンゾカインジェルや琥珀のネックレスのように絶対に避けるべきこと、鎮痛薬の相談の目安と受診が必要な危険なサインまで、公的な基準にそってまとめました。

夜中の歯ぐずりを安全にあやす、してよいことと避けるべきこと

夜中に急に泣きじゃくり、口にこぶしを入れて歯ぐきをしきりにこすりつける赤ちゃんを見ると、「歯が生えてくるのかな」と思いますよね。昼間はどうにか過ごせたのに、夜になるとやけにぐずる赤ちゃんを抱っこして、何をしてあげればいいのか途方に暮れる瞬間です。

まず大きな方向からお伝えします。夜中の歯ぐずりに安全にしてあげられることは、思ったよりシンプルです。清潔な手や冷たく湿らせたガーゼで歯ぐきをやさしくこすってあげ、冷蔵庫で冷やした程度の歯固めをくわえさせ、とてもつらそうなら小児科や薬剤師に相談したうえで、月齢・体重に合わせて解熱鎮痛薬を使う、という程度です。反対に、歯ぐきに塗る麻酔ジェル、琥珀のネックレス、お酒といった方法は、役立つどころか危険なことがあるので避けたほうがよいです。

この記事では、夜に実際にしてあげられる安全な方法と絶対にしてはいけないこと、そして歯ぐずりと片づけてはいけない危険なサインまで順番にまとめます。歯ぐずりなのか風邪なのかから迷うなら歯ぐずりか風邪か、熱の見分け方を、夜に何度も目を覚ますパターンそのものが気がかりなら歯ぐずりの夜間覚醒チェックリストを一緒にご覧ください。

目次

夜に安全にあやす基本の方法は何でしょう

夜中の歯ぐずりをやわらげるポイントは、「歯ぐきに冷たくやさしい圧をかけること」です。歯が歯ぐきを押し上げて生えてくることで起こるむずむずやこわばりを、冷たい感覚とじんわり押す力でやわらげるのです。薬や特別な道具ではなく、家にあるものでたいてい対応できます。

夜に試してみられる安全な方法をまとめると、こうです。

方法

どうするか

注意点

歯ぐきマッサージ

清潔に洗った指や、冷たく湿らせたガーゼで歯ぐきをじんわりこすってあげます

爪・衛生を確認し、強く押しすぎない

冷たい歯固め

冷蔵庫に入れて冷やした歯固めをくわえさせます

冷凍庫で凍らせた硬いものは禁止

冷たい濡れタオル

大きめの濡れタオルを冷やし、端をくわえさせます

赤ちゃんが飲み込むほど小さな切れ端は避ける

冷たい食べもの

離乳食を始めた赤ちゃんなら、月齢に合った冷たい食べものを少し

窒息の危険がある硬くて小さな切れ端は禁止

短く一貫したあやし方

夜は関わりすぎるより、抱っこしてトントンする短いルーティンを繰り返す

昼間に十分あやしておくと夜が楽になります

ここで覚えておきたいポイントがひとつあります。冷たくはするけれど凍らせないということです。冷凍庫でカチカチに凍った歯固めや硬く凍った食べものは、かえって柔らかい歯ぐきを傷つけたり、しもやけのように刺激したりすることがあるからです。冷蔵庫に少し入れて涼しくなった程度で十分です。

夜は照明を落とし、声をやさしく保つことも役立ちます。赤ちゃんが完全に目覚めてしまわないよう、あやす動作は短く繰り返すほうが、また眠りにつくのによいです。

解熱鎮痛薬は、夜に使ってもよいでしょうか

赤ちゃんがやけにつらそうで、あやしてもどうしても落ち着かないとき、鎮痛薬を思い浮かべますよね。結論から言うと、使えますが、必ず小児科や薬剤師に相談したうえで月齢と体重に合わせて使ってください。夜で病院が閉まっていても、ふだんから前もって相談して適量を確認しておくと安心です。

保護者がぐずる赤ちゃんを胸に抱き、背中をトントンしてあやす様子

成分ごとの基本の目安はこうです。

  • アセトアミノフェン系は、比較的低い月齢の乳児用の製品が出ています。ただし月齢が低いほど、とくに生後3か月未満なら必ず医師の指示に従い、用量も相談のうえ確認してください。
  • イブプロフェン系は、一般に生後6か月以上から使うものと案内されます。それより小さい赤ちゃんには自己判断で使いません。

用量は年齢ではなく体重を基準に決めることが多く、同じ月齢でも赤ちゃんによって違います。ですからインターネットに出回る数字をそのまま当てはめるより、相談を通じて自分の赤ちゃんに合った用量を確認するほうが安全です。大人用の薬を分けて飲ませたり、2つの成分を自己判断で交互に使ったりするのも避けてください。

鎮痛薬はあくまで、とても痛がるときの補助的な手段です。毎晩の習慣のように飲ませるより、本当につらそうな日に、相談された範囲のなかで助けを借りる程度に考えるとよいです。

絶対にしてはいけないこと

この部分が今日の記事でいちばん大切です。歯ぐずりをやわらげるという民間療法のなかには、効果がないどころか、赤ちゃんを実際に危険にさらすものがあります。以下は公的機関が使わないよう案内しているものです。

赤ちゃんが仰向けで平らな床にまっすぐ寝ている安全な睡眠姿勢

してはいけません — 夜中の歯ぐずり禁止リスト

  • ベンゾカイン・リドカインのような局所麻酔成分の歯固めジェルは塗らないでください。 米国食品医薬品局(FDA)は、こうしたジェルを2歳未満の赤ちゃんに使わないよう警告しています。血液の酸素運搬を妨げるメトヘモグロビン血症のリスクがあり、乳幼児に関する深刻な事例が調査された経緯があります。
  • ベラドンナ成分の入ったホメオパシー歯固め錠は飲ませないでください。 FDAが安全性の警告を出した製品群です。
  • 琥珀(アンバー)の歯固めネックレスやブレスレットはつけないでください。 痛みをやわらげるという根拠は確認されておらず、首にかける形状のため首の絞まりや窒息のリスクがあります。米国小児科学会もすすめていません。
  • お酒やウイスキーを歯ぐきに塗らないでください。 少量でも乳児には危険なことがあります。
  • 冷凍庫でカチカチに凍った硬いものをくわえさせないでください。 涼しくではなく凍らせてしまうと、柔らかい歯ぐきや口の中を傷つけることがあります。
  • 痛がるからと上半身を高くしたり傾けて寝かせたりしないでください。 歯ぐずりでぐずるからとマットレスの角度を上げたり、枕で上半身を起こして寝かせたりするのは、安全な睡眠に反する方法です。赤ちゃんはいつも仰向けで平らな床で寝かせてください。

とくに最後の項目は見落としやすいです。鼻がつまって見えたり寝返りが激しかったりすると上半身を高くしてあげたくなりますが、角度を変えて寝かせるのは乳幼児突然死・窒息のリスクと結びつくため、すすめられません。鼻がつらそうなら、寝かせる前に生理食塩水を入れて鼻水をやさしく取ってあげる方法で助け、寝床そのものは平らに保ってください。

安全な歯固めや用品はどう選ぶのでしょう

歯固めは夜中の歯ぐずりに心強い道具ですが、選ぶときにいくつか確認すれば、より安心できます。ポイントは凍らせなくても冷たさが保たれるか、飲み込む危険がないかの2つです。

赤ちゃんが一体型のやわらかい歯固めを両手で持って口にくわえている様子
  • 冷蔵はできるが冷凍は避ける製品がよいです。凍らせると硬くなるウォータータイプの歯固めは、破損すると中の液体が漏れることがあるのでとくに気をつけます。
  • 小さな部品や外れる切れ端がない一体型の形が安全です。噛んでいて取れた切れ端は窒息の危険になり得ます。
  • 首にかけるひもやネックレス型は避けてください。 寝るときはもちろん、遊ぶときも首の絞まりの危険があります。
  • 口に入れるものなので素材表示を確認し、毎日きれいに洗って衛生を保ってください。

夜に何個か替えながら使おうと、冷蔵庫に2〜3個入れておくと、ひとつがぬるくなったときにすぐ冷たいものに替えられて便利です。

歯ぐずりではなく受診が必要なサイン

歯ぐずりは赤ちゃんを不快にはしても、高熱やひどい全身症状までは起こさないとされています。ですから下のようなサインがみられたら、「歯が生えているせいだろう」と片づけず、ほかの原因ではないかを小児科で確認するとよいです。

こんなときは受診してみましょう

  • 39℃以上の高い熱があるとき
  • 熱やぐずりが3日以上続くとき
  • 下痢や嘔吐が一緒にあるとき
  • 体に発疹が出るとき
  • 尿が減り口が乾くなど脱水が疑われるとき
  • ぐったりして、ふだんと違い激しく元気がないとき

こうした症状は、歯ぐずりより感染やほかの問題につながることがあります。とくに月齢が低いほど熱の原因を早く確認するほうが安全なので、判断がつかないときは先延ばしにせず受診をおすすめします。歯ぐずりの症状とほかの原因を見分けるくわしい目安は、歯ぐずりにまつわる誤解でさらに取り上げています。

よくある質問

毎晩、鎮痛薬を飲ませても大丈夫でしょうか?

毎日習慣のように使うより、本当につらそうな日に相談された範囲のなかで使うことをおすすめします。毎晩、鎮痛薬が必要なほど痛がるなら、それ自体が相談の必要なサインのことがあります。成分・用量は小児科や薬剤師に前もって確認しておいてください。

歯固めジェルは、本当に使ってはいけないのでしょうか?

ベンゾカイン・リドカインのような局所麻酔成分のジェルは2歳未満にはすすめられません。冷たい感覚を与えたいなら、ジェルの代わりに冷蔵した歯固めや冷たい濡れタオルのほうが安全な代替です。

琥珀のネックレスは、少しでも役立たないのでしょうか?

痛みをやわらげるという根拠は確認されておらず、首にかける形状のため窒息や首の絞まりの危険があります。効果は不確かなのに危険ははっきりしているので、つけないことをおすすめします。

冷凍の歯固めのほうが冷たくてよいのではないですか?

カチカチに凍ると硬くなって、柔らかい歯ぐきを傷つけることがあります。冷蔵庫に入れて涼しくなった程度のほうが、歯ぐきにはより安全で心地よいです。

最後にまとめると

夜中の歯ぐずりにしてあげられることは、意外とあっさりしています。清潔な手や冷たいガーゼで歯ぐきをマッサージし、冷蔵した歯固めをくわえさせ、とてもつらそうなら相談された範囲のなかで鎮痛薬を使う程度で十分です。反対に、麻酔ジェル、ベラドンナ錠、琥珀のネックレス、お酒、凍らせた硬いもの、そして傾斜寝かせは避けてください。涼しくあやしつつ、寝かせる姿勢はいつも仰向けで平らに。この2つを守るだけで、夜がずっと安全になります。

そして39℃以上の熱や下痢・嘔吐・発疹・脱水・ひどいぐったりがみられたら、歯ぐずりと片づけず受診してみてください。歯が生えるのは赤ちゃんが育っているサインでもあるので、あまり焦らなくても大丈夫です。この記事は情報提供のためのもので、診療に代わるものではありません。